〒168-0072 東京都杉並区高井戸東3-33-8
内科一般・消化器内科・消化器外科・緩和ケア・東洋医学

東洋医学とは

東洋医学とは

「国内の医療制度での補完・代替医療としての漢方治療の意義」
先進諸国では西洋医学が治療の中心として診療が行われております。現代西洋医学は、感染症をはじめ多くの疾患を治療可能としてきた大きな功績があります。しかしながら、それでもなお西洋医学的手法をもっても力の及ばない領域が常に存在しております。例えば、原因がわかっていない複雑な発症要因をもった慢性的な疾患、ストレスなど精神的な要素が反映される疾患、再発性疾患などがあります。
このような疾患において、西洋医学では力の及ばない範囲領域について、漢方治療などの補完・代替医療をうまく用いることにより、患者さんのQOL(Quality Of Life:生活の質)を高めたり、ADL(Activity of Daily Life:日常生活動作)を向上させることが可能となります。

治療対象

治療対象
タイプ1漢方治療の方が西洋医学的治療よりも優れているもの
タイプ2西洋医学的治療と漢方治療との併用で効果が増強されるもの
タイプ3漢方治療によって西洋医学的治療の副作用が軽減されるもの
タイプ4西洋医学的治療が使えない状況にあるが漢方治療が有効であるもの
タイプ1

漢方治療の方が西洋医学的治療よりも優れているもの
例1)気圧低下に伴う頭痛…五苓散
例2)認知症の周辺症状…抑肝散、抑肝散加陳皮半夏
例3)小児の反復性中耳炎…十全大補湯

症例A) 認知症の周辺症状(BPSD)に抑肝散加陳皮半夏が有効であった1例
81歳女性。既往は高血圧。約2年前から物忘れが進行し、知人、家族の名前や顔を忘れるようになってきた。夜になると独語(独り言)が多くなり、近所を徘徊するようになってきたため、家族が本人を連れて受診。診察では腹部に動悸を触れ、脈は弦細であった。そこで睡眠障害を伴う認知症の周辺症状に対して、抑肝散加陳皮半夏を7.5g/日で処方した。約2週間で独語は止み、1か月後には夜間の睡眠も良好となった。

タイプ2

西洋医学的治療と漢方治療との併用で効果が増強されるもの
例4)三叉神経痛…五苓散とカルバマゼピンの併用
例5)関節リウマチ…防己黄耆湯とMTX(メトトレキサート)の併用
例6)大腸憩室炎…抗生剤と大黄牡丹皮湯の併用

症例B)呉茱萸湯とトリプタン製剤との併用によって片頭痛の改善を得た1例
42歳女性。数十年前から片頭痛の診断にて、マクサルト(トリプタン製剤)を屯用で内服していたが、数か月前から頭痛が悪化したため、2日に1回のペースで内服するようになった。これまで効果のあった製剤でも頭痛が軽減しない日も増え、会社も休みがちになってきたので、漢方治療を希望し来院した。所見として、冷えが強く、電車や会社の冷房で頭痛が悪化する。この他、ストレスが強い時にも頭痛が悪化する。そこでマクサルトの他に、呉茱萸湯7.5g/日を処方した。1か月後には頭痛の頻度はかなり減り、マクサルトを飲む頻度は月に3,4錠程度となり改善を得た。

タイプ3

漢方治療によって西洋医学的治療の副作用が軽減されるもの
例7)抗がん剤(オキサリプラチン)による末梢神経障害…人参養栄湯
例8)抗がん剤による食欲不振…六君子湯、補中益気湯など
例9)抗がん剤による全身倦怠感…補中益気湯、十全大補湯など
例10)抗がん剤(イリノテカン)による下痢…半夏瀉心湯

症例C)抗がん剤(オキサリプラチン)による末梢神経障害の予防のために漢方を用いた1例
57歳男性。横行結腸癌に対して、X年3月に手術を受けた。術後病理検査ではStageIIIbであり、術後補助化学療法としてmFOLFOX療法を受けることとなった。副作用として、末梢神経障害や白血球減少などの血液毒性が予想されたため、これを軽減するために人参養栄湯9.0g/日を併用した。その結果、抗がん剤量を減量することなく、規定の12サイクルを続けて治療を終了することができた。その後も再発なく、通常勤務をしながら経過観察をしている。

タイプ4

西洋医学的治療が使えない状況にあるが漢方治療が有効であるもの

症例D)解熱鎮痛剤がアレルギーのため使用できない患者
54歳 男性。発熱、倦怠感、全身の関節痛で受診。以前、ロキソニンやカロナールで発疹が出現したため、解熱鎮痛剤が使用しづらく、漢方薬での治療を希望していた。そこで桂枝湯2.5g+越婢加朮湯1.5gを2,3時間おきに服用し、発汗を認めたら服用を中止するように指示。その薬を4回服用したところ、発汗して解熱した。翌日には体のだるさ、熱感、関節痛は消失して軽快を認めた。

症例E)眠気が出るために抗アレルギー薬を服用できない花粉症の患者
32歳 男性。4年前から毎年4月頃にくしゃみ、鼻水が出現。スギ花粉症と診断されて治療を受け、抗アレルギー薬を服用したところ、非常に眠くなってしまい仕事に支障をきたす状態となった。そのため眠る前にだけ薬を服用するようにしていたが、十分な効果が得られなかった。そこで小青竜湯9g/日を1ヶ月間投与したところ、鼻炎の症状は軽快し、抗アレルギー剤は不要となり、眠気による弊害もなくなった。

結びに

このように大昔からある東洋医学は現在、西洋医学での標準治療と同等か、それよりも優れている部分もあり、病気で悩む患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させる医療として行われております。

当院では西洋医学的治療のほか、このような漢方による東洋医学的治療も患者さんの状態に併せて活用して、症状改善を図って参ります。患者さんが漢方薬をご希望される場合、または漢方薬を使用したほうが改善が見込める場合には主治医から処方の打診・相談を行わせていただきます。

杉並オリーブホームケアクリニック

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